生育歴② (3~4歳)

(2001.8.29記)

 

3歳

 

3才の時に保健所で経過観察をしていた小児神経の先生によって正式に「自閉症」の診断がおりる。

その時の先生の説明。

 

「この子は部屋に入ってきて、私がいても全く気にも止めずに走り回っていますよね。これは人間とモノの区別がついていないてからです。
普通のお子さんは部屋に入った時、人がいるとそこに注目して警戒するものなんです。ですからこの子は『自閉症』と思われます。

3歳を過ぎたので診断書も書くことがてきます。
お母さん、療育施設に通わせたほうがいいと思います」

 

と強く入園を薦められて、3才の春に入園。(週2回の母子通園)
そして入園をしてから○○幼稚園の障害児クラスの事を聞き、母子通園と並行して幼稚園にも通いはじめる(週2回)

 

親としてはこの診断に半信半疑だったので、別の病院でCTと脳波の検査を受ける。
もちろん全く異常はなし。こちらの担当の先生は「自閉症の疑いなし」と診断する。

 

療育センターでの様子

 

それなりに楽しんでいたようだ。ただし集団には絶対に入ってはいかない。
椅子に座る事なども拒否をして部屋の隅でほとんどを過ごす。
だが感覚遊びは大好きで「ボディペインティング」「豆遊び」「スライム」などといった
プログラムが始まると率先してやってきて夢中になって遊んでいた。

そして音楽がかかると相変わらず「何かやらされる」と思うらしく逃げまくる。


療育センターではプールの時間もあったのだが最初は大泣きしたが少しずつ入れるようになる。水遊びはとても好きなので通っていくうちに少しずつ慣れていく。
ただしプログラムが終了して、お友達がいなくなった時を見はからって遊ぶ事が多かった。

 

摂食指導は、食べる事に関しては全く問題ないと言われる。

相変わらず食欲は旺盛で、大抵のものは食べられるし量も結構食べる。
嚥下の仕方も問題なく「この子の問題は食器の使い方のスキルだけですね」と言われる。


ただし何でも食べられるからといって 、
味覚オンチというわけではないようだ。

「おいしいもの」には目がなく、食べておいしいと「う~ん」とか言いながらおいしいそうに食べおかわりを欲しがった。

とってもグルメなオトコです。

 

母子分離の時間があったのだが全く問題がなかった。

というより私がいなくなっても気づかずに(気づいていても興味がないので)

全く平静に遊んでいた。

この時期全く後追いをするという事がなくなっていた。

 

幼稚園での様子

 

通いだした最初の頃は、子供の集団の中でかなりのストレスがあったようで
保母さんに、かみついたりなどといった行為も見られた。
ただ障害児クラスは狭い部屋で他の子供とは隔離された状態だったので、私が思った以上に早く慣れてしまった。
しかも幼稚園に通うようになってから、明らかに大人との関りが良くなり、何故かはっきりとアイコンタクトをしだすようになる。

療育センターの先生たちもその変化に驚いたくらいだ。

 

通いだしてすぐ、突然家で壁に向かっておしっこをする。

お友達が立ってしていたのを見て真似てしたようだ。

それがきっかけでしばらくするとトイレでおしっこができるようになる。

もちろん最初は時間誘導。

 

あまりにも「ばいばい」ができないので、挨拶の時おじきをさせるように教える。
すると結構すぐに覚えて、いたるところで丁寧なおじぎをするようになる。
もちろん最初は人のいないところにもよくおじきをしていた。

 

幼稚園ではとにかく何でもモノを引っ張り出してイタズラしまくっていたようだ。
視覚過敏があるようなので、とにかく目に入る全てのモノが気になって仕方がないのだ。特に商品のパッケージのようなきれいな色の箱などには目がなく、スーパーなどに行くと興奮して走り回ってしまう。
1番大変だったのはカメラ店のフィルムがたくさん置いてあったのを見つけた時だ。
脳が壊れるんじゃないかと思うくらいハイテンションになってしまい大騒ぎだった。

 

最初のうちは迎えに行くと、私を見つけた途端手を引っ張って帰りたがった。
でも幼稚園に慣れてくると逆に、私の顔を見ると逃げるようになる。

そういう時はもっと遊びたい時のようだった。

幼稚園に通いだしてしばらくすると、家にいても私がどこにいるのかを確認するような後追いがはじまる。ただし自分がイタズラしたい事がある場合も、確認してから始めるなんて事もあった。
もちろん純粋な後追いの場合もあった。

 

4歳

4才の時、自閉症の診断をつけた小児神経の先生の大学病院で、脳波、ABR(聴覚検査)、血液・尿検査を行い全て異常なし。

遺伝子も検査したらしい(笑)

もちろん異常なし。


その時点であまりにも社会性の障害が改善された事から、診断名が「精神発達遅滞」に変更されてしまう。

年少の半年間であまりにも幼稚園のほうに慣れてしまったので、思い切って療育センターを辞めて年少の後半は幼稚園に途中編入をする。
毎日通うようになっても特に問題もなく、大好きな園バスにも毎日乗れるようになったのでゴキゲンで登園する。
ただし年度が変わり年中になった時、バニックをおこしバスに乗るのを嫌がる。
園バスのお友達メンバーが変わったからだ。でも1週間くらいで慣れる。

 

幼稚園に通うようになると、療育センターには月1回の外来のみになってしまう。
そこで不足した療育面を補う為に、もう一つの療育センターに通う事にする。
担当は心理の先生。いろんな専門家がグループでトータルにケアしてくれる施設で
大人になっても通えるのが特徴の施設。

地域の療育センターは年中からOTに診てもらう手筈にする。

 

年少の時期は集団に入るとかなりのストレスがあったようで、結構泣いたり逃げたりしていたようだ。年中になってもなかなか普通のクラスで平静を保つのは大変なようだった。ただ2歳児クラスにはかなり入り浸っていたようだ。

自分より小さい子供には大丈夫なのだろう。

 

自宅でABAのアプローチをはじめる。やってみて痛感した事は、息子はこのまま放っておいても、自分自身の力で学習していく事はないだろうという事だった。
「電車はどれ?」と聞いて、3枚のカードの中から電車を選ぶ事は、結構すぐにできるようになった。でも別の電車の写真を見せて「これは?」と聞くと答えられない。
そこで何種類かの電車をみせて「全部電車だよ」と説明して、何度かプロンプトをしてやっと覚えていくようになった。

現在も完全に理解しているのかは疑問。

地道に一つずつ混乱をときながら教えていく事が必要な子供だと認識している。

 

年中になるとトイレも保母さんにお知らせできるようになり、出来る時は自分で行ってこれるようになる。家でも全くオモラシをする事がなくなる。
ちなみにおしっこを寝ている時にする事は4才以降ほとんどした事がない 
(具合が悪い時は失敗する事もある)したい時はちゃんと夜中でも起きてトイレに行ける。

ウンチに関してはもともと便秘体質のようで、トイレでするように強要するとウンチが出なくなってしまい大騒ぎなので、無理じいはさせなかった。
基本的には外出先でする事ができない。幼稚園でも滅多にできなかった。
しかし自発的にウンチをした時もあった。

プールに入る前にどうしてもすっきりしたかったらしく
ウンチを水着の中にして、しかもそれを御丁寧に脱いでプールに行ったらしい(笑)
「幼稚園でウンチをしたくない」より「すっきりしてプールに入る」が勝ったからたと思う。
いわゆる「論理的思考能力」のせいである。こうゆう事は息子の場合頻繁にある。

 

朝バスが幼稚園に着くと担当の保母さんに「どこに行きたいか」を方向指示器のような指差して主張できるようになる。

自転車に乗って「~はどっち行けばいいんだっけ?」と言うと指差しして教える。
道などはほとんどわかっているようで方向感覚は抜群にいいようだ。

 

人の表情を読みとる力がついてくる。私のご機嫌をわざわざ顔を覗き込んで伺う時もある。自閉症なので生まれつき持っている能力ではないと思う。

学習によって獲得したスキルのようだ。
だから当然微妙に表情などは、やはりわかりづらいようでかなり混乱している時もある。顔を見えない状態で話をしていると不安がったり、泣き出したりする事がある。

 

音楽で踊ったりする事が好きになる。

運動会やおゆうぎ会などでも、音楽が鳴ると身体を揺らして踊るようになった。
それからは幼児番組の音楽が流れると、嬉しそうにやってきて集中して見る事も増えてくる。

 

あと1ヶ月で5歳という時期に「熱性けいれん」をおこす。
明け方カエルのようにひょこひょこと足が動いているのに気づいて見たらけいれんを起こしていて高熱もでていた。
3歳の時インフルエンザにかかった時に、1度けいれんを起こしかけていたし
(足が2~3回びくっとした)発達が遅れていたので、かかりつけ医から注意するように言われていたのだが。