幼稚園か保育園か

(2002.03.31記)

 

幼稚園の年中に上がる際に、幼稚園側から「普通クラスへの入り込み」の話し合いがありました。私としてはその時点で息子を普通クラスに入れるメリットは感じていなかったので、年中の1年間は障害児クラスでお願いする事にしました。


実はこの幼稚園、今まで慣例として障害児でも年長になると普通クラスに編入される
場合がほとんどでした。親の希望もあるのでしょうが、園側としても「年長さんになったら少し頑張らせる」といったものも感じられました。
なので息子も年長さんになったら普通クラスに編入になるのかなぁ?と漠然とは思っていました。

 

年中に上がってしばらくしたら、「実はオフレコなんだけど・・」と担任から
来年度は幼稚園を辞め、別の保育園に勤めるという事を聞きました。
実はこの先生は主人が惚れ込んだ先生で、この先生がいたからこの幼稚園に
決めたという経緯がある人だったのです。
要は「この先生なら」と思って預けてた人なのでした。


でも息子が年中に上がった時点で、この方は担当から外れ、息子は情緒不安になり、他の子たちが新しい先生にすぐになついていっても、最後まで抵抗してなつこうとはしなかったのでした。
なので息子が年長の時には、担当になってもらうようにお願いしようと思っていたのにっ!

 

ほぼ1年間、私は「来年どうしよう?」と悩んでいたのかもしれません。
普通に考えれば自閉症児を転園させるのは、環境が変わるので言語道断だと思います。
主治医にも反対され、療育センターでも「なんで?」と首を傾げられて…
この時は、私も本当にどうしていいのかわからなくなってしまいました。


もちろん環境を変えるというのが、ものすごい冒険だという事は、この時の私には心底わかっていました。それに年中の後半の時期には、どこの部屋にも我が物顔を入っていけるようになったり、他の先生たちともコミュニケーションがとれるようになってきてはいたようです。
そして本当に悩み抜いた結果、一応保育園への編入希望を出す事にしたのでした。

 

でも保育園というのはお役所様が管理しているので、「入れてくれ~」と言っても
条件が揃わなければ入れてもらえません。
でも調べてみたら「いろんな理由で」入園できるようなので(地域によっても違うようですが)、ある条件で書類を提出する事にしました(詳しくは聞かないで)
そして入園できたら保育園、入園できなかったら幼稚園に残留する事にしたのでした。

 

障害児の場合は、表向きは障害を理由に断らないとなっていますが
書類を提出したら「面接がありますので、お子さんを連れて来てください」という
電話がかかってきました。・・・これ自体が問題のような気がするのだけど。
なので「こうなったら息子を連れていって役所で暴れたろか」と思っていたら
私がぶっ倒れてしまいました。

 

詳細は近日公開

 

神様が「暴れるんじゃないよー」と止めてくれたのかもしれません。
そして問題の面接は、主人が息子を連れていって、私の診断書を提出し事情が変わったのを説明。
いわゆる点数が満点という事で、無事に入園できる事になったのでした。

 

保育園に入園してからしばらくは、やはり情緒不安定だったといっていいと思います。
実は幼稚園との1番の違いは生徒数でした。幼稚園の生徒数は200名以上、保育園は50名前後。
普通に考えれば明らかに保育園のほうが環境はいいのですが、実は「生徒数が少ない環境」という事は、息子にとってはかなりのストレスになったようです。
息子は幼稚園時代には集団の中にいても、上手く自分の居場所を見つけられるようになっていました。
まるで木の葉の中に隠れるように(笑)
でも保育園に行くと、小人数ゆえにお友達とも関係がもっと密接なモノだったのでしょう。
それに息子は最初かなり戸惑ったのだと思います。


私は当初水遊びが始まる頃までにはきっと慣れる」と予測していたのですが
だいだいその頃に慣れてきて、慣れたら保育園大好き少年になっていました。
週末に保育園に行けないと泣いた事もありましたっけ(笑)

 

そしてあれから1年が経ちました。この選択は間違いなく正解だったと思います。
最初は息子も戸惑っていたようですが、たくさんの優しい先生たちに囲まれてたくさん
可愛がってもらいました。
担当の先生達には「やるべき事はやる」と、根気よく指導していただきました。
お友達とは・・・・まあそれなりに(笑)
でも手をつないでお散歩したりもしていたようだし、何とかやっていたようです。


きっと息子にとっては思い出深い1年だったに違いないと思います。
そして母も保育園に預かってもらっている時間で、このサイトを作る事もできました。
幼稚園に通っていたらきっと出来なかったでしょう。