差別は1日にしてならず【やまゆり園の事件に思うこと】4

 ハートネットの生放送で、過激な障害者差別の意見が紹介されていました。

 

 

 

 私はこの意見を最初に聞いた時、もしかするとこの人は、今とても大変な境遇にいる人なのかもと感じました。

以前ネットのどこかで見たのですが

「頑張って働いても、生活保護もらって毎日寝てても、もらえるお金が同じなら、生活保護もらってぐーたらしたい」という意見でした。

働くよりも、病気や障害で苦しい思いをするほうがいいという事なのでしょうか。もしくは何かしらの障害を抱えているが、障害と認めてもらえなかった人とか。未診断やクローズしている発達障害の人もたくさんおられますし。

 

どちらにせよ、自分が置かれた立場の辛さから、障害者がいると自分に不利益が生じるという幻想に惑わされてるような印象を受けました。でも実際に障害者が消えても、その人の利益になんて全くならんと思います。世の中、そんな単純じゃないです。

 

こういう風に、人は自分のものさしで測って考えるので、様々な形の差別が生まれてくるのでしょう。

ここで私個人が経験した、差別に関する話をしようと思います。

 

いずれ詳細に書こうとは思っていますが、数年前に亡くなった実母は差別主義者というか、普通主義者?みたいな人でした。普通である事が全て正しくて、異端な事には過敏反応しました。しかも言葉の端々でびっくりするような発言がよくありました。友人や知り合いとして普通に付き合っていた中国や韓国の人達を、家では「チャ○○ロ」「○○ラン」などと言い、所詮よそ者だからと悪口を言っていました。

子供心に、友達なのに何でそんなことを言うのか、全く理解できませんでした。中国が嫌いなら、中華街に行かなければいいのにと思いましたが、母にとってはそれは別物だったようです。

 

私自身は、良い先生に巡り会えたおかげで

 

hii-1701.hatenablog.com

母親の考えはおかしいという事は理解できていたので、とにかく実母とはずっと折り合いが悪かったのです。

 

しかしその後、私も結婚。結婚した後は、もう自分の責任はないと思っていたのか、うるさく言うこともなくなり、良好な関係を保っていました。その後息子を出産し障害がわかった時も、特に何か言われた事もなく、実家に帰れば普通に息子の事を可愛がってくれました。

 

しかし実父が亡くなり、ひとり暮らしをし始めて、介護ヘルパーさんに掃除などを手伝ってもらうようになった時、母に「ヘルパーさんには、息子の障害の事は話すな」と言われました。それ以前にも、母の友人などには、息子の事は話すなと言われていたのです。

若い頃からずっと同じ地域で生活しているので、古株の人はみんな顔見知りです。その人達に、孫が障害者であるという事を隠したかったようです。

 

もしもうちの息子が相模原の事件に巻き込まれたとしたら、きっと私も匿名にせざるおえなかったでしょう。もし孫が障害者だったことが友人にバレたら、母親は半狂乱になり、自宅に引きこもってしまったと思いますから。そんなの引越をすればいいと思われる方もおられるでしょうが、母にとってはその地域以外で生活することなど、選択肢としてないのです。

 

このように障害者がいる家庭は、親以外にも祖父母や兄弟、親族などが、何かしらの影響を受けてしまう場合があるのです。

確かに実母の感覚は間違っているかもしれないですが、80歳まで蓄積してきた差別の経験値を一瞬にして消し去ることは困難です。

多分、時に解決してもらうしかないのだろうと思います。

 

日曜討論に出演されていた保護者の方が、差別は障害者の間にもあるとおっしゃっていました。差別は自分自身の保身とリンクします。自分にとって誰かが不利益になっていると思う気持ちが、差別の根っこの部分なのだと思います。なのでその人が心の中にしまっておけば、差別が表面化することはありません。

しかし誰かが差別感情を口に出してしまうと、それが形となって表面化し、形骸化して世間に蔓延していく。

どうしようもない動物ですね、人間って。

 

しかし、時代が変われば新しい風がやってきます。

 

 

今後は、障害をテクノロジーで支援するという動きがどんどん出てくると思っています。

最重度の障害者が、テクノロジーで支援者なしで行動できる可能性だってあると思っています。ちなみに、重度障害者がコミュニケーションを取れないと発言してた犯人の言葉は明確に否定します。

方法は様々ですが、私はコミュニケーションスキルを獲得することは、全ての人に可能なことだと思っています。

 

もう人間は何をしでかすかわからないですから、今後はテクノロジーに頼るほうが安心かもしれないと、以前からずっと思っています。

早く自閉症支援のロボット、作って欲しいです。