はみだしっ子を発達障害の視点で再読する 6

「裏切者」

4巻の事件以降の、サーニンの話。

事件が起き、助けを呼ぶ為に、たったひとりでスキーで山を降りていったサーニン。

だがその無謀な行動を責められ、自分の無力さを許せず、鏡を手で叩き壊しそのまま姿を消してしまう。

 

そんなサーニンを助けたのは、家出したと言いながら、母親の言いつけを守って

自宅の回りにいるような無邪気なキャシーだった。

彼女の母は、怪我をしているサーニンに医者を呼んでくれ、自宅で看病をしてくれた。

だが、サーニンの傷は一向に治らず。彼は仲間を救う為に自分は何もできなかったと責め続けていたのだ。

そのせいで、寝ている時に自傷していたので、全く傷が治らなかったのだ。

 

困った母親は、自分の実家の牧場で預かってもらうことにした。

そして、サーニンが薬で眠っている間に連れられていき、目覚めたときには彼がいたのだ。

エルバージュ。気性が荒いサラブレッド。

ああ、どうしてサーニンが動物と絡むシーンは、こんなに美しいんだろう。

 

サーニンは、牧場の馬に夢中になり、すぐに元気を取り戻す。

エルバージュは最初はなつかなかったが、サーニンは根気よく関わり

すっかり仲良しになってしまう。

 

実は、エルバージュはいわくつきの血統の馬だった。

父親も気性が荒いがとても強かったが、何故か一番人気のときレースで負けたり

逆にあまり人気がないレースでは勝つという予測ができない馬だった。

そしてついたあだ名が「裏切者」

 

その血統の事や、気性が荒いエルバージュを売りに出しても、買い手がつかないだろうという事で

サーニンがエルバージュの馬主になることに。

 

そんな時、アンジーがやってきて、お互いの無事を確認しあう。

そして、サーニンは仲間の元には帰らず、牧場で生活することを選ぶ。

 

その後しばらくして(この期間に、5巻のマックスのエピソードが入る)

デビューしたエルバージュのレースを観戦しに、3人は出かける。

4人が久々に集まり キャサリンも母親も観戦にきていた。レース前にエルバージュに、角砂糖をあげるために。

だが、キャサリンとマックスがふたりで角砂糖をあげに行ったが、毎度の如く迷子になり

間に合わなかった。キャサリンは、言いつけを守れなかった事を言えずあげたと嘘をつく。

それならば証拠隠滅しなきゃと、マックスが角砂糖を口に入れたら変な味がしたので

すぐにはきだしが、身体が動かなくなってしまった。

角砂糖には、筋弛緩剤が入っていた。

 

その後、キャサリンの母親を糾弾するが、逆に次のレースでエルバージュに角砂糖を食べさせないと

キャサリンに身の危険が及ぶと脅される。

 

ここらへんは、サスペンスモノのタッチになっていく。

いつもの連携プレイで犯人をつきとめるが、サーニンは自ら騎手と交代してエルバージュに乗り

そしてゴール目前で止まる。

サーニンは、エルバージュに角砂糖を食べさせることもできず

自分を助けてくれたキャサリン母娘を傷つけることもできなかった。

その後逃走。

エルバージュは薬殺処分になるが、4人で強奪し、また昔の4人の生活に戻る。

 

【キーワード】

自分の都合で、勝手に愛情を注ぎ、勝手に捨てる

親にとって都合がいい子育て

自己主張できなくなる子ども

自分を責める。無意識の自傷

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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