はみだしっ子を発達障害の視点で再読する 4
「山の上に吹く風は」
この回では、物語上とても重要な事件が起こる。
ひとりの男が、マックスが撃った拳銃で死んでしまうのだ。
山の頂上に行きたいと思い立った4人が、悪天候の中バスに乗車。
その中に、逃亡中の銀行強盗が紛れ込んでいたり、売れないクラブ歌手が
モルヒネを隠しもっていたりと・・・
物語は、密室パニックサスペンスのようなタッチで進んでいく。
マックスは、父親から首を絞められたり、殴られたりと虐待を受けていた。
再婚相手に、子供がいることでふられたらしく、言葉でも
「お前さえいなければ・・・」と、マックスを傷つける。
そして父親は、拳銃の試し撃ちをするために鳥を殺すような男だった
再度読んでみた気づいたんだが、マックスの父親だけ顔が書かれていない。
足元や手、あとはセリフしか書かれていなくて、マックスの目線で描かれているんだろうと。
書かれていないことで、マックスの恐怖が増幅されてるんじゃないかな?とも感じた。
マックスは毎度のごとく、人懐っこく銀行強盗になついて後をつけていってしまい
追い詰められて自殺をしようとしてる銀行強盗に首を絞められてしまう。
アンジーたちが助けに来てマックスを助けるが、銀行強盗は自殺。
その後、マックスが痛みどめ(ヘロイン)を使っていたせいもあり意識が朦朧。
その状態で、昔、父親に虐待された事を想いだしてしまい、混乱状態で拳銃を打ってしまう。
だからマックス自身は、自分が拳銃を撃って、その結果、人が死んでしまった事実を知らない。
今後も知らされることはなく、その真実はグレアムとアンジーによって、隠され続けていくことになり
その後それが、グレアムの精神を蝕んでいくことになっていく。
その後全員命は助かるが、グレアムは父親から暴力を受けた傷の痛み止めとして
ヘロインを使ってしまった(ヘロインとは知らず、痛み止めだと思っていた)影響と
雪山の事件への贖罪からなのか、幻覚症状が起こり、人への反応が出来なくなってしまう。
て゜もそれは、普段人に対して、とても実直に関わるグレアムの性格ではありえない事実だった。
だからマックスはグレアムと対面した時、自分に対して声もかけてもらえなかったという事実は
彼をとても混乱させる事になった。
グレアムはいい子だから意地悪はしない→グレアムはボク逢いたくない→それはボクは悪い子だから逢いたくないんだ
・・・・という短絡思考なのだが。
警察も、グレアムの状況や銀行強盗の自殺など、真相の究明をしようとするが
証拠がなく、捜査は打ち切りになる。
そして、死体は前の回に登場した幽霊屋敷の主のお墓に隠し、拳銃はアンジーが隠しもつ事に。
アンジーは、ひとりの命が失われたことに対して、本来ならば償わなければならないのに
マックスを守るために、彼の存在を消去せざるおえなかった。
そしてその罪悪感に苦しみ続けることになる。
「正義の味方が極悪非道をぶっ殺す。人々拍手喝采
野卑な野郎がかよわい美少女をやっちまう 人々 怒り泣き叫び・・・
けど・・・そんなことどうだろうと 殺された人間にすりゃ 同じだと思うよ」
↑アンジーの名言中の名言
そして、グレアムは、回復に時間がかかるという事で、いとこのエイダに引き取られる。
サーニンとマックスは、行方不明。全員がバラバラになってしまうとこで終了。
読み返してみると、起きる事件の量が異様に多い。
今の漫画家さんが書いたら、単行本3~4冊程度ひっぱれる内容だと思う。
それが単行本一冊に凝縮されている。
・・・・要するに読み解くのが大変な漫画って事です(笑)
【キーワード】
パニック心理
ヘロイン(モルヒネ)による幻覚症状
死者
罪をかばう(かぶる)
人は平等ではない。
生きる価値がある命、そうでない命
信頼していた人からの裏切り