ギラン・バレー日記⑤ リハビリについて

(2001.8.29記)

 

リハビリテーションセンターというので、すごく広い空間を想像してたのだが思ったよりは狭い空間だった。PTもたくさんいるという訳ではないみたいで、多分全部で十数人といったところだと思う。

ほとんどが男性なのだかその中の数少ない若い女の先生が私の担当PTだった。

STは私が見たところ1人、OTも数人しかいないようだ。やはりどこにいってもSTとOTは少ない。

 

最初に私のリハビリメニューの説明から。
私の場合は身体が特に固くなっているという事はなく、ストレッチは全く必要がなかった。とにかく筋肉がげっそり落ちている状態だったから、全て筋トレのメニューになった。それも1番の問題点は「ふともも」だ。

コレの強化が第1となる。でもまだ麻痺がかなり残っている状態から始めたので最初はゆっくりペースだった。あとは顔面麻痺をあるので顔のリハビリをするとの事だった。最初「顔のリハビリ」と言われてイメージが沸かなかったのだが。顔にはもちろん筋肉が存在していて、それを麻痺した間動かさないでおくと筋肉たちは動き方を忘れてしまうのだそうだ。

だから微弱な電気を通して刺激を与えて無理矢理動かすようにしていると、麻痺がなくなった時にスムーズに元にもどるのだそうだ。なるほどねー。もちろんそれと同時に顔の運動もする。鏡を見てしわを作るように心がけながら顔を動かす。

 

筋トレのメニューは最初は全て寝た体勢で行うものだった。

 

おもりのついた棒を持ち上げる(最初は500㌘)


 三角のクッションを膝にいれる。その状態で足をゆっくり上げてゆっくり下げる


腰をあげる。

 

から始まる。


最初左足は絶望的に上がらなかった。特にこの「ゆっくり上げてゆっくり下げる」というのはかなりキツイ。でも私の1番の問題点のふとももの筋肉をつけるのにはこの「ゆっくり下げる」が1番効果的なのだそうだ。

結構地道なメニューだ。「腰あげ」は身体が動くようになったらやっておいたほうがいいと主人に言われていたのでリハビリに行く前からやっていた。実は主人は高校生の時バイクで事故って生死の境をさまよったらしく、その時にリハビリは経験済みなのでとても詳しい。

 

それでも毎日続けていると不思議に少しずつ足が上がっていくようになる。

でもまだ下げる時にガタンと落ちてしまったりする。持ちこたえられないのだ。

すると次に

 

足の下に板を敷いて膝を曲げる(足がおしりにつくまで)

 
足の下に板を敷いて開脚する

 

が追加される。つるつるした板の上でタオルを巻いてやるので結構すべる。

それをこらえてやるのが効果的らしい。

開脚は特に問題はなかったが、やはり膝を曲げるメニューは左がおしりまでつかない。

とにかく左を中心に筋トレするように心がける。

しばらくすると足をあげるのもかなり持ちこたえられるようになってきたので、右だけ少しおもりをつけるようになる。

やはり最初は500㌘から。

 

手が上がらないので頭が上手に洗えないと相談すると手の運動を

 

 両端に取っ手がついたひもを滑車にかけてその下に座って互い違いに引っ張る。

 

に変更してくれる。要は手をまっすぐ上にあげる運動なのだ。なかなか自分であげなれないので片方の手で引っ張って上に思いっきりあげるようにするのだ。これをやったら2日で手があがるようになった。やっぱ相談してみるもんだわ(笑)

 

おもりは徐々に重くなっていった。

退院時には右足は2㌔、左足は1㌔だったと思う。

 


ところで私はここの病院では若い患者の部類に入り(笑)、筋トレメニューしかやっていないので慣れてくると自主的にやっている事が多くなった。身体を動かしているだけなので暇だからリハビリセンターの様子を見ながらやったりしてたのだか。

私が1番びっくりしたのがここのPTたちの動きだ。

まず患者さんのほとんどは車いすでやってくる。すると必ず目をあわせるようにして挨拶をして今日の体調を伺う。それから部屋の状況を見て空いているベットに誘導。実はここのPTたち、同時進行で数人の患者さんを診るのだ。

だから他の患者の進行状況も見ながら課題を与えてまだ動くという事を絶えずやっている。もちろんこの状態でストレッチメニューも入る。う~ん、お見事!

 

しかし最もこの人たちを侮れないと思ったのは「人への対応の仕方」なんだよね。病院だからどうしてもご老人が多い。私もそうだけど大抵の人は「痛いのは嫌い」なわけで当然痛みを伴うストレッチをさせるのは大変だ。

それを「昨日は○回やりましたよね。だから今日は○回やりましょうよ~、昨日できたから大丈夫だよね」(スモールステッブ)

とか言いながらやっている。そしてできたら誉める誉める(2次強化)

「すごいなぁ、○ヶ月前に比べたらすごくよくなっているの自分でもわかるでしょう?」と良くなっている事を実感させる。

とにかく患者さんによく話しかけるし、話もちゃんと聞いている。

・・・・○○のホストより強者かもしれないわ。

 

いや事実、奥様方はリハビリを楽しみになさっている方がとても多かったようだ。

でも医者の指示通りのメニューはきっとこなしているのだろう。とにかく感動もんでしたよ。リハビリセンター内2次強化の嵐だったもの。一度療育センターの先生たちに見学してもらいたいもんだと思ってしまった私。個別指導をどうやったらいいのかと悩んでいる学校の先生もどうでしょう?

障害児にもこのやり方有効だと思うんだけどねぇ。

 

 平行棒をつたって歩く(歩行訓練)

 

歩く練習というよりも「どういうバランスで歩いていたのかを想いだす」と言ったほうがいいのかもしれない。でも歩く以前にまっすぐ立って前後左右に少し体重をかけるだけでふらつくのを発見。

平行棒につかまって前後左右に体重移動する練習からはじめる。

あと平行棒につかまってももを高くあげてあるいてみる。

しばらくするとちゃんと体重移動しながらあるけるようになる。

ただしその歩き方ではつかまるところがないと気分的に恐い。

「ふともも」をもっと効果的に鍛えるメニューはないかとPTも考えてくれたのだが

それ以外のところもあまりよくなっていないので、なかなかうまくいかない。

エアロバイクを使うなんて荒技の案もでたけどできなかった。

本当は「スクワット」が1番効果的なのだが、しゃがむと立ち上がれないので無理。

結局地道に足あげをする事になった。

退院が近くなってきた頃、ステロイドの効果もあって顔のしわはかなりはっきりしてきた。ただしまだ笑ったりすると・・顔がこっ、こわい(笑)

 

バタハダっと退院を決めてしまったので、急いで自宅で行うメニューを考えてもらう。

 

寝て行うメニュー

 

 

あおむけで、足首を立ててゆっくりあげて、ゆっくり下げる。


腰あげ


横向きになって上に足をあげてから、身体に向かってそらすようにする。

 

座って行うメニュー

     

両手におもり(退院時は250㌘)を持って前に持っていき、そのまままっすぐ広げる


椅子の端に手をかけ身体を浮かす。

 

バランスのメニュー

 

片ひざをついてバランスをとる練習

 

それができたら片ひざを出来るだけ保持できるようにする。最後は片ひざをついたまま立つ練習。

 

握力のメニュー

 

ボールを握る