サポートブック2  コミュニケーション

(2004.9.30記)

自閉症という障害は、よく「コミュニケーション障害」とも言われます。
でもそれは「コミュニケーションを取る事が出来ない」のではなく
「元々生まれ持ったコミュニケーション方法が健常者と少し違う」という風にご理解ください。
しかもそのコミュニケーション方法は、『ひとりひとりが違うので』自閉症という障害でひとくくりにする事が出来ません。ですから、ここに書いてあるのは『息子のコミュニケーション方法』であり<他の自閉症者には、あまり効果がないと思います

(逆に危険な場合もあります)

『息子からのコミュニケーション』と『息子へのコミュニケーション』は、全く同じではありませんので、本人が理解している事でも、要求する事ができない事も多々ある事をご理解ください。

 

息子からのコミュニケーション

現在本人から、何らかの要求やコミュニケーションは主に、「写真(絵)カード」「手話」「指差し」「クレーン」「文字」などです。
言葉はしゃべりません(しゃべれません)
でも何かが欲しい時などは、いろいろな方法で要求を伝える事ができます。
例えばお茶が欲しいときは、お茶のカードを持ってきますが、手近にコップがある場合はコップを見せて伝える事もします。
結構臨機応変です。

それ以外にも新聞広告などの写真を見ては、指差して要求をします。

また「欲しい」という要求ではなく 、「これ、知ってるよ」という確認の場合もあるようです。そういう時は、「○○だね」と言ってあげると安心します。
そして最近は同じ事を文字でもやるようになり、不動産の広告の地名などを指差しするようになってきました。
やはり名前を言うと喜びますので、言ってやってください。

手話で本人がよく使うものは
口元をとんとん叩く・・「食べる」
片手でお腹をさする・・「お腹が空いた」
両手でお腹をこする、たたく・・「お風呂」もしくは「水に入る」
手のひらを指でとんとんたたく・・「ちょうだい」
手をバチンとたたく・・・「おしまい」
マカトンや手話でないものもあります。

どうやら手話を自分で勝手に作ってしまうようです。

 

息子へのコミュケーションは、「写真(絵)カード」「言語」「表情」「文字」「手話」が効果的です。

「写真(絵)カード」
指示を出すときに絵や写真を見せるほうが格段に理解してもらえます。
特に写真に関しては、見る事自体がとても好きなので、安心材料にもなっています。
ただし、どんな写真(絵)でも理解できるという訳ではありません。

「言語」
本人が全くしゃべらないので真実はわかりませんが、言葉の読み取りに関しては、かなりいいと思います。
息子以外の人に話しかけた言葉、大人同志でしている会話、小さくつぶやいた独り言なども全て聞いているようです。その上厄介な事に、全ての文章の内容を正確に把握する力はないので、自分の知ってる単語だけを聞き取って、自分で勝手に勘違いな文章を組立てて怒っている事がよくあります。
なのでしっかりと指示をしたい時は、文字やカードのほうが確実にわかってもらえる事が多いです。
あと「大きな声」や「高い声」はそれだけで「怒られてる」と勘違いする事もありますので、いつもニュートラルな言葉かけをお願いいたします。

指示をするときは、具体的な言葉でお願いいたします。
「○○線に○個乗ります。○○駅で降ります」という感じです。
それから否定的な言葉かけには、とても過敏に反応するので調子に乗って騒いでる時などは「走るな!」と言わず、「ここ、戻ってきてください」と、正しい行動を教える言葉かけをお願いいたします。

「表情」
人の表情を見て、良いことか悪い事かを判断してる時があります。
「○→笑った顔」「×→怖い顔」で指示をしていただくようお願いいたします。
表情がわかりにくいと、不安になる事があります。

「文字」
つい最近になって、文字への興味が出てきました。でもまだ息子にとっての文字は、絵と同じです。
例えば「化粧室」「トイレ」「トイレのピクトクラム」などは理解出来るようですが
「といれ」と書いても、理解できません(通常ひらがなで書いてある場所はないので)
どうやら街で書かれてる文字を拾って絵のように形で、覚えているようです。

パックの中にお絵かきボードが入っていますので、例えば○○駅で降りるという場合は
駅名を書いてやると、より理解できるようです。
こちらが言ってる言葉を書いて欲しい時があるみたいで,そういう場合もボードに文字を書いてあげると喜びます。